コインパーキング投資が注目されていますが、その原因の一つとして不動産価格の高騰があると思います。不動産投資を始めたいと思っている人が、価格の高騰によってなかなか利回りのでる物件がなく買えないためそのほかの投資先を探しているということですね。
不動産投資とコインパーキング投資、投資としてはどちらがいいのか、また不動産投資からではなくコインパーキング投資から先に参入するというのはどうなのか、考えてみたいと思います。
不動産投資の特長
不動産投資とコインパーキング投資の比較の観点から、それぞれの投資の特徴の違いを見ていきます。まず不動産投資から。
レバレッジが利く
なんといっても最大の特徴はレバレッジが利くということです。要するに銀行を始めとした金融機関が資金を融資してくれるということですが、他に個人が行うもので、金融機関が融資してくれる投資など存在しません(厳密には「不動産投資」ではなく「不動産賃貸業」に融資してくれているわけですが)。
コインパーキング投資も、私のように日本政策金融公庫から融資を引くことは可能は可能ですが、私の場合融資期間は5年です。融資期間は長ければ長いほどキャッシュフローが出ますが、コインパーキングの場合長くても7年。10年だとどうだろう?という感じだと思います(打診してみたことがないのでわかりませんが)。
このように融資期間が短いので、コインパーキングではレバレッジ効果は期待できません。
その点、不動産投資の場合、構造や築年数にもよりますが数十年単位で融資を引くことができ、大きくレバレッジを利かせることができます。
資産価値がある
不動産投資の場合、投資対象である土地・建物(特に土地)に多かれ少なかれ資産価値があります。要するに投資対象そのものに価値があるので売却すれば、キャピタルゲインが発生するかロスが発生するかはともかくとしてその分を取り戻すことができます。
それに対してコインパーキング投資は土地を借りて土地無しでやる場合、資金を投じるのは動産である機械装置やアスファルト工事などであり、そのものには資産価値はほぼありません。売却したとしても中古の機械では二束三文にしかならないでしょう。「アスファルト工事」などというものは売ることすらできないのは言うまでもありません。
つまり不動産投資の場合、買ったものがその瞬間からでも価格の増減はあるにせよ資産として金額的な価値を保持しているのに対して、コインパーキング投資の場合は買った瞬間にゼロと言っては言い過ぎかもしれませんが投じた資金が投じた時点でほぼゼロになり、それを回収するところから始まるということです。マイナスからのスタートですね。投資元本を回収し終えたところからやっと本当の意味での収益になっていくわけです。
キャッシュフローがすぐ発生する
新築物件や全空物件を買った場合は当てはまりませんが、不動産投資の場合、すでに入居者がいる中古物件を購入すればその日から家賃収入が入ってきます。
コインパーキングでは以前も書きましたがオープン後にその存在が利用者に認知されるまでしばらく時間がかかり、それまでの間の収入は微々たるものにならざるを得ないので特に土地を借りている場合では地代支払いが重くのしかかり数ヶ月は資金の持ち出しが発生するのが通常です。
コインパーキングもオーナーチェンジのような形で不動産の中古にあたるようなものがあれば別ですが、あまり一般的ではありません。
コインパーキング投資の特長
少額で始められる
コインパーキング投資に必要なイニシャルコストは、その規模にもよりますが2台程度の最も小規模なものであれば二百万円前後、大規模なものでも一千万を超えるかどうかくらいではないでしょうか。不動産投資のように何億・何千万と用意する必要はありません。
オープンが早い
不動産投資の場合、新築は言うに及ばず中古を買う場合でも重説やら契約やら決済やらで結構な時間がかかり、自分のものとして稼働を始めるまでが長めです。
コインパーキングの場合は空き地に一からオープンする場合でも着工日が決まればそこから長くても一週間前後でオープンできます。
手間がかからない
不動産の場合は人が住む場所ですので、何かと入居者からの要望・クレームなどが発生することが多いです。「人が住む建物」という複雑な構造物でもあるので、故障・老朽化する箇所も必然的に多くなります。
対してコインパーキングの場合はあるものといえばフラップ板と精算機くらいなものですし、利用者も常にその場所にいてそこを使い続けるわけでもありません。壊れる可能性のある物自体が少ないですしそれも頑丈です。利用者も滞在時間が短いですし車が止められさえすればいいので要望やクレームが発生することもまずありません。
お金がかからない
「手間がかからない」から当然お金もかかりません。不動産の場合、やれ退去が発生したからクリーニングだリフォームだ、エアコンが壊れたから交換だ、建物が老朽化したから大規模修繕だと、一度入ってきたはずの家賃収入が後からどんどん出て行きます。怖くて入ってきた家賃は使っちゃえませんよね。
コインパーキングの場合はこういったことがないので、入ってきた売上金から地代や必要経費を控除した粗利はほぼそのまま手元に残ります。不動産の家賃収入に比べたらまだ、多少は使う気になりますね(使いませんけど)。
不動産投資とコインパーキング投資のそれぞれの特長、ほかにもいろいろありますがざっと書いてみると主だったものはこんなところだと思います。
不動産投資とコインパーキング投資 どちらを先に始めるか
このような特長を踏まえて、どちらの投資を先に始めるのがよいのでしょうか。
投資としてはどちらが良いも悪いもなくて、それぞれに一長一短かと思います。特に「資産性」「レバレッジ」「後から出て行くお金」というあたりの優劣は大事で、そのあたりをよく考えた上でどちらが自分に合っているか検討することをお勧めします。
その上で、あくまでも私の考えですがやはり不動産投資を先に初めて軌道に乗ったところで、それを補完するものとしてコインパーキング投資を始めるのがよいのではないかなという気がします(実際私がそうです)。
上では書いていませんが、まず投資規模の問題があります。コインパーキング投資の特長で「少額で始められる」と書きましたが、少額ゆえにいかに利回りがいいと言っても得られる絶対額(金額)がコインパーキングの場合は小さいのです。これは戸建投資なんかにも同じ問題が当てはまりますね。
みなさん資産を増やしたいという目的で投資をされると思いますが、コインパーキングのように投資の金額規模がそもそも小さいと例え利回りが良くても増えて行くスピードが遅いです。
なのでまず、レバレッジが利く不動産投資で規模の拡大を優先し、そこから得られるキャッシュフローを元手に、より手元に残るお金の安定感が高いコインパーキング投資をしていくのがいいのではないかなと思います。
またコインパーキングの場合オープン後、認知されるまでしばらくは結構な金額の持ち出しが発生するとこれまでも書いてきましたが、不動産からのキャッシュフローがあればそれで吸収できます。何もないところで持ち出しが発生してしまったらサラリーマンの給料や保有資金から払わなくてはいけなくなってしまいます。
あと日本政策金融公庫にコインパーキング投資の融資を申し込む際にも、不動産賃貸業の実績があったほうが何もなくていきなり行くよりはよいような気がしました(聞いたわけではないですが、私が最初にコインパーキングの融資を申し込みに行った時になんとなくそんな印象を受けました)。
土地無しコインパーキングに資産性がないのも問題です。最初にコインパーキング投資から始めて、万が一そこがポシャったら、資産性がないだけに投じた資金をほとんど失うことになってしまいます。不動産なら例え撤退することになったとしてもよっぽど売れない物件でもない限り売却していくらかは取り戻せますよね。
そんなこんなで、あくまでも私見ですが、私は
レバレッジを利かせて不動産で規模拡大 → コインパーキング投資で収入の安定化
という流れがいんではないかな〜と思った次第です。まあひとそれぞれ考え方ですけどね。
コインパーキング投資は少額ゆえに参入がしやすいように見えますけれど、よくよく注意しなければいけないと思います。
(あいかわらず一記事が長いですね。。。スミマセン)